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WordPressを続けるべきか、HTMLサイトに乗り換えるべきか

分岐する道のイラスト。WordPressを続けるかHTMLサイトに移すかの選択を表すアイキャッチ

ある士業事務所のサイトには、開設から5年でブログが80本ほど溜まっていました。担当は事務の方お一人です。月に1、2回、お知らせを書いて公開する。それ以外の日、管理画面(ログインして記事を直す画面)は開いていません。

それでも「記事が80本あるから、WordPress(管理画面から記事を書いて公開する仕組み)を続けるしかない」と思われていました。プラグイン(機能を足す追加プログラム)の更新通知は、画面の上に何件も残ったままです。更新するとレイアウトが崩れた経験があり、怖くて触れない。保守の請求は、ほとんどが「WordPressを無事に動かし続ける作業」になっていました。

同じ頃、別のお客様は店舗が3つあり、各店の店長がキャンペーンを自分で投稿していました。こちらは管理画面がないと、日々の更新が止まります。

記事の本数は、前者の方が多い。それでも向いている仕組みは逆でした。この記事では、その分かれ目を一緒に見ていきます。

なぜ「記事が多いからWordPress」では決まらないのか

「ブログが何本あるか」で、サイトの仕組みは決まりません。

決まるのは、公開したあとに、誰が、どのくらいの頻度で、管理画面へ入るかです。記事が80本あっても、直す人が1人で、月に2回なら、完成したページを差し替える運用で足ります。ページが10枚でも、10人がそれぞれ下書きを入れるなら、権限を分ける仕組みが必要です。

たとえるなら、WordPressは「鍵付きの共有ノート」です。複数人が同時に書き込み、下書きと公開を分けられます。HTMLサイト(完成したページファイルを、そのまま公開する方式)は「印刷所に頼んで刷り直すチラシ」に近いです。中身を変えるときは、原稿を渡して刷り直してもらいます。ノートの鍵を毎日使うなら共有ノートが便利です。月に2回、決まった欄だけ直すなら、チラシの刷り直しの方が手間が少ないことがあります。

現場でよくあるのは、次の3つです。

  1. 士業・クリニック・小売の会社案内。 事務が月1〜2回、お知らせを載せる。ログインは1人。記事は増えているが、同時編集はない。
  2. 複数店舗。 店長が各自でキャンペーンや休業日を書く。同じ日に3人が管理画面へ入る。
  3. 予約や会員があるサイト。 診療予約、会員限定の資料、ネットショップ。ページの文章より、その機能が本体になっている。

1はHTMLサイトと保守で回ることが多いです。2と3は、WordPressや専用のシステムを続けた方が自然です。本数の大小は、この3つのどれに近いかを見たあとの話になります。

本数で決まらないことが見えたところで、次は「誰が更新するか」を、相談の前にどうメモするかを整理します。

誰が更新するかを先に書き出すと、何が見えるのか

サイトの仕組みを選ぶとき、先に聞くのは次の2点です。

  1. 公開後、誰が何を直すか。 お知らせ、サービス説明、ブログ、採用情報のどれか。
  2. 同じ日にログインする人数。 1人か、2〜3人か、店舗や部署ごとに分かれるか。
運用の形向きやすい構成現場のイメージ
担当1〜2人。更新は制作会社へ依頼HTMLサイト+保守、またはWordPress+保守月2件のお知らせを、原稿で送る
社内の担当が、月に数回自分で直すHTML+AI更新環境、またはWordPress価格表と営業時間を、自分で差し替える
営業・広報・店舗がそれぞれ投稿WordPressなどのCMS3店舗が同じ週にキャンペーンを出す
会員、予約、EC、複雑な検索WordPress+プラグイン、または専用システム予約台帳とサイトがつながっている

「50本あるからWordPress」ではありません。50本あっても、月に数本の差し替えを外注するなら、公開ファイルだけのサイトで足りることがあります。逆に10ページでも、店長が3人いれば、管理画面の方が早いです。

更新担当とログイン人数から、WordPressかHTMLサイトかを選ぶ順番のイラスト
記事の本数より、誰が・何人で更新するかを先に整理します。

書き出すときは、理想ではなく先月の実績が役に立ちます。先月、管理画面を開いたのは誰か。何を直したか。何分かかったか。開いていない機能(下書きの承認、会員、予約)は、一覧の外に置いておきます。使っていない機能まで「ないと困る」に入れると、選択が重くなります。

更新の実態が言葉になったら、次は「続けた方がよい現場」と「移した方が楽になる現場」を並べてみます。

WordPressを続けた方がよいのは、どんな現場か

次に当てはまるなら、WordPressをやめる必要はありません。古いから悪い、という話ではないのです。

  • 複数人が管理画面にログインし、編集者と管理者で権限を分けたい
  • 投稿の下書きと承認を、サイトの中で回したい
  • 会員登録、予約、ネットショップ、問い合わせの履歴を、プラグインで動かしている
  • 本体・テーマ・プラグインの更新を、止めずに続けられる(自社か、保守の相手が対応できる)

具体的には、こんなケースです。

ケース1。3店舗の小売。 各店長が週1回、セールと休業日を自分で書く。本部は公開前に文言だけ見る。管理画面がないと、メールで原稿を集める作業が毎週発生します。

ケース2。予約付きのクリニック。 診療予約の空きと、サイトのお知らせが同じ管理画面にある。予約だけ別サービスに分けられるなら話は変わりますが、今のプラグインを外すと受付の手順が変わります。先に受付の手順を聞いてから、移すかどうかを決めます。

ケース3。会員向けの資料配布。 ログインした顧客だけが、価格表PDFをダウンロードする。この扉をHTMLのページに置き換えるには、別の会員の仕組みが必要です。ページの見た目を直す話と、会員の話は分けた方が安全です。

更新をきちんと続けられるなら、WordPress自体をやめる理由にはなりません。問題になるのは、更新を止めたまま「とりあえず残している」状態のときです。

WordPressを続ける場合とHTMLへ移す場合の向きやすい状態を比較するイラスト
続ける/移すは、記事数ではなく運用の形で分かれます。

続ける条件が見えたところで、反対側、つまり移した方が負担が減る状態も見ておきましょう。

HTMLサイトへ移した方が楽になるのは、どんなときか

次の状態が半年以上続いているなら、構成の見直しを検討するタイミングです。

  • プラグインの更新を止めている。 または、更新のたびに表示が崩れて戻している
  • ログイン画面への不安が、更新そのものより大きい
  • 実際に直しているのは1人か、制作会社だけで、管理画面の機能の大半を使っていない
  • 保守費の多くが、WordPressを動かし続ける作業(本体・テーマ・プラグイン)に向いている

公開するサイトに、ログイン画面・データベース・プラグインを持たない構成は、入り口を減らせます。家に例えると、来客用のドアだけにして、スタッフ通用口と倉庫の鍵を外に出さない、というイメージです。詳しくはセキュリティの考え方に書いています。

「HTMLなら絶対に安全」ではありません。どの構成でも、リスクをゼロにはできません。減らすのは、攻撃の対象になりやすい部品です。そのうえでHTTPS(通信の暗号化)、変更の履歴、サイトが開いているかの確認を組み合わせます。

移す判断に近い例を、3つ置きます。

例1。 プラグインが20個あり、最後の更新が1年以上前。表示は今も崩れていないので、誰も触っていない。

例2。 お知らせは月2本。毎回、管理画面の使い方を思い出してから書いている。書く時間より、思い出す時間の方が長い。

例3。 保守の明細を見ると、記事の公開より「アップデートと復旧」の行が多い。中身を新しくする予算が、仕組みの維持に吸われている。

どれか1つでも当てはまっても、すぐ移す必要はありません。ただ、見積もりを「今のWordPressを整える」と「見た目を残して仕組みだけ移す」の2枚で比べる価値はあります。

どちらが近いかが見えてきたら、移した場合に「残るもの」と「変わるもの」を分けておきましょう。ここを混ぜると、見積もりの話が迷子になります。

乗り換えると、何が残って、何が変わるのか

WordPressから乗り換えでは、次のように分けています。

残せるもの(可能な限り)変わるもの
見た目文章、写真、ページの並び、デザイン公開の仕組み(PHPとデータベースから、HTMLとCSSへ)
住所URL(パーマリンク。各ページのアドレス)更新の手順(管理画面から、原稿の依頼、またはAIへの指示へ)
中身検索に載っている主要なページサーバーで常時動かすプログラムの量

見た目を大きく変えず、中の仕組みだけ移す場合の起点は、料金の「WordPressからHTML・CSSへの変更のみ」で220,000円〜です。小規模サイトは110,000円〜。ページが多い、予約や会員が残る、デザインも同時に変える場合は、別の見積もりになります。

移したあとの更新は、標準の保守で月4記事まで、11,000円/月〜が目安です。更新が多い場合は22,000円/月〜で、月8記事程度まで相談します。自社でも直したいときは、AI更新環境の初期構築が55,000円〜、使うAIサービスの料金は別です。金額の読み方は、ホームページ制作費用の相場にも書いています。

残すものと変えるものが分かれたら、次は相談のときに出やすい誤解を、先にほどいておきます。

「でもHTMLだと更新できないのでは」は、本当か

そう聞くと、「HTMLにしたら、自分たちでは直せなくなるのではないか」と思う方もいるでしょう。確かに、管理画面の「新規投稿」ボタンはなくなります。しかし、更新そのものがなくなるわけではありません。

よくある誤解は、次の3つです。

記事が多いと、WordPressが必要になるのか

多い記事を載せ続ける作業と、社内の複数人が同時に編集する作業は別です。前者は、原稿を渡して公開してもらう形でも回せます。後者がなければ、管理画面を残す理由は弱くなります。80本の過去記事は、移すときにページとして残せます。本数は、仕組みを縛りません。

WordPressは、セキュリティが弱いのか

更新を止めたWordPress、使っていないプラグインが残ったWordPressは、リスクが上がります。毎月更新できる運用なら、WordPress自体がすぐに不適切、とは言えません。見るのは、維持の手間と、起きうるトラブルのバランスです。

HTMLにすると、文章が直せなくなるのか

HTMLの知識は不要です。通常は「この原稿を載せてください」と送るだけで足ります。自社で直したい場合は、AI更新環境を別に用意する方法もあります。よくあるご質問の「更新・保守」に、お任せと自社更新の違いを書いています。

もう一つ、現場で多いのは「移すと検索の順位が落ちる」という心配です。アドレスと、ページに書いてある内容を残せば、移したこと自体が順位を下げる理由にはなりにくいです。落ちやすいのは、移すついでにURLを変えたり、文章を大きく削ったりしたときです。残したいアドレスは、作業の前にリストにしておきましょう。

誤解がほどけたら、最後に、相談の前にメモしておくと話が早い項目を置いておきます。

相談の前に、何をメモしておけばよいか

次の7つが揃うと、「続ける」「見た目を残して移す」「一部の機能だけ外に出す」の切り分けがしやすくなります。

  1. 今、管理画面に入っている人の人数と役割
  2. 月にどのくらい直しているか(お知らせ、ブログ、採用)
  3. プラグインで動いている機能の一覧(予約、会員、フォーム、ショップ)
  4. 本体・テーマ・プラグインを、最後に更新した日
  5. 今の保守で含まれる作業と、別料金の作業
  6. 移したあとも変えたくないURL
  7. 今困っていること(表示の崩れ、ログインの不安、保守費、更新の遅さ)

「とにかくWordPressをやめたい」「とにかく今のままでいい」だけでは、案は分かれません。7項目のうち、分からないものは空欄のままで構いません。空欄があること自体が、次に確認する作業になります。

進め方は、だいたい次の3ステップです。

  1. 現状のメモを、上の7項目で書く(30分もあれば足ります)
  2. 2つの見積もりを並べる。今のWordPressを整える案と、仕組みだけ移す案
  3. 公開後の1か月を想像する。誰が、何を、どの手順で直すか

3の答えが今とほぼ同じなら、仕組みを変える優先度は下がります。3の答えが「管理画面を開くのが負担」なら、移す案を厚く見ます。

続ける、移す、一部だけ外に出す

選択肢は、次の3つに収まります。

  • WordPressを続け、更新の手順を整える。 複数人の投稿や、予約・会員が本体のとき
  • 見た目とURLを残し、HTMLサイトへ移す。 更新は月に数回、ログインは実質1人のとき
  • 機能だけ外に出し、ページはシンプルにする。 予約は予約サービス、資料配布は別の置き場、という分け方

どれが合うかは、サイトのURLと、先月の更新の実態を見て決めます。初期費用だけでなく、公開したあとの1年で、誰が何時間を使うかまで含めて比べてください。制作費の見方は、ホームページ制作費用の相場が参考になります。保守で何が月額に入るかは、ホームページ保守で含まれる作業に分けて書いています。

運営

作村 景理

SONOSVIEW代表。エックスサーバー勤務を経て独立し、Webサイトの制作と、公開後の保守をしています。

運営者情報

今のサイトのURLと、困っていることを教えてください。

WordPressを続ける案と、乗り換える案の両方から整理します。見積もりは無料です。