PREP法とは、「Point(結論)」「Reason(理由)」「Example(具体例)」「Point(結論の再確認)」の頭文字を取ったもので、論理的な思考と情報伝達を支援するために設計された構成フレームワークです 。この手法は、文書作成だけでなく、プレゼンテーションのような口頭でのコミュニケーションにおいても、その効果を大いに発揮します 。
実はそれ、あなたの話し方や内容以前に、「話の組み立て方」、つまり**「構成」**に原因があるかもしれません。
PREP法ってそもそも何?
PREP法は、話し方や書き方の基本的な構成パターンの一つです。たった4つのステップで成り立っています。
- Point(結論)
- Reason(理由)
- Example(具体例・証拠)
- Point(結論の繰り返し・まとめ)
この順番で話を進めるのがPREP法。
なぜこれがプレゼンに強いかというと…
- 聞き手を飽きさせない: 最初から「結論」を提示するから、「何の話だろう?」と聞き手の関心を引きつけられます。
- すごく論理的: 結論、なぜならその理由、たとえばこんな具体例で、だからやっぱり結論!という流れは、人の脳が情報を理解しやすい自然な順序なんです。
- 説得力が増す: 結論を裏付ける理由と、それを証明する具体的な証拠があるから、「なるほど、確かにそうかも!」と納得してもらいやすいんです。
- 短い時間でも伝わる: 無駄な情報が削ぎ落とされ、要点を効率よく伝えられます。
良いことづくめですよね!
【実践】あなたのプレゼンをPREPで組み立ててみよう!
では、ここからが本番。実際にあなたのプレゼンをPREPの型に当てはめて構成するステップを見ていきましょう。
今回は、あなたが会社で**「新しいプロジェクト管理ツール『TaskFlow』の導入」を提案するプレゼン**をすると仮定して、具体的なセリフやスライドのイメージと合わせて解説しますね。
1. P:Point(結論)を決める
まず一番最初に行うべきこと。それは、あなたのプレゼンで「最も伝えたいこと」「最も重要な主張や提案」を明確に決めることです。
そして、これをプレゼンの一番最初に伝えます。
ーTaskFlow提案の場合ー
- ダメな例:
- 「今日はプロジェクト管理の課題についてお話しします。」(何が結論か不明)
- 「今のツールは使いにくいですよね。」(結論になっていない)
- 良い例(P):
- (プレゼン開始直後)「皆さん、本日はお集まりいただきありがとうございます。早速ですが、本日の私の結論から申し上げます。それは、新しいプロジェクト管理ツール『TaskFlow』を、ぜひ皆さんに使っていただきたいということです。」
どうでしょう? これを聞いた聞き手は、「ああ、今日はTaskFlow導入の提案なんだな」とすぐに理解し、その後の話を聞く準備ができます。スライドにも、この結論を大きく表示すると効果的です。
2. R:Reason(理由)を述べる
次に、なぜその結論(TaskFlow導入)を提案するのか、その根拠となる理由をいくつか提示します。多すぎると分かりにくくなるので、重要なものから2~3つに絞るのがおすすめです。
ーTaskFlow提案の場合ー
結論を伝えた後、続けて理由を述べます。
- 良い例(R):
- 「私がなぜTaskFlowの導入を強くお勧めするのか? その理由は主に3つあります。」
- 「第一に、チーム内の情報共有が劇的にスムーズになるからです。」
- 「第二に、プロジェクト全体の進捗状況がリアルタイムで分かりやすくなるからです。」
- 「そして第三に、結果として業務効率が向上し、残業時間の削減やコスト削減に繋がるからです。」
このように、「なぜなら」「理由は3つあります。一つ目は…」といった接続詞を使うと、聞き手は「今から理由が始まるんだな」と理解しやすくなります。
3. E:Example(具体例・証拠)を示す
ここが聞き手を「なるほど!」「本当にそうなんだ!」と納得させるための重要なステップです。前のステップで述べた理由が、単なる意見ではなく、根拠のある事実に基づいていることを示すために、具体的なデータ、事例、体験談などを提示します。
ーTaskFlow提案の場合ー
先ほど挙げた3つの理由それぞれに対して、具体的な証拠を用意します。
- 良い例(E):
- (理由1「情報共有がスムーズになる」を受けて)
- 「例えば、先日TaskFlowを試験的に導入したAチームでは、タスクのやり取りに関するメールの数が導入前に比べて20%も減少しました。 これは、TaskFlow上でコメントやファイルの共有が一元化された効果です。」(→スライドには削減率のグラフや、実際のTaskFlowのやり取り画面のイメージを映す)
- (理由2「進捗状況が可視化」を受けて)
- 「さらに具体的に言うと、TaskFlowのダッシュボードを見れば、自分が関わるプロジェクトだけでなく、部署全体のどのタスクが誰に割り当てられ、今どんなステータスなのかが色分けされて一目で分かります。 今までのように担当者ごとに聞いたり、複数のスプレッドシートを確認したりする手間が省けます。」(→スライドにはTaskFlowのダッシュボード画面のスクリーンショットを映す)
- (理由3「業務効率向上・コスト削減」を受けて)
- 「また、他のTaskFlow導入企業の事例を見ると、平均でプロジェクト管理にかかる時間が年間15%削減されたというデータがあります。これは、私たちの部署に換算すると、年間〇〇万円のコスト削減に相当すると試算できます。」(→スライドには調査データのグラフや、コスト削減額の試算根拠をシンプルに示す)
- (理由1「情報共有がスムーズになる」を受けて)
具体的な数字や、聞き手が「あ、これなら分かりやすいな」と思えるような画面イメージ、実際にありそうな「~という手間が省ける」といった具体的なメリットを示すことが説得力を高める鍵です。
4. P:Point(結論の繰り返し・まとめ)を行う
さあ、いよいよ大詰めです。最後にもう一度、あなたの結論を伝え直します。
ただし、冒頭と全く同じ言葉を繰り返す必要はありません。これまでに話した理由や具体例を踏まえた上で、改めて結論を強調したり、プレゼン全体の要点をまとめたりします。そして、**次にどうしたいのか(アクション)**を明確に伝えることも重要です。
ーTaskFlow提案の場合ー
理由と具体例をすべて話し終えた後、締めに入ります。
- 良い例(P):
- 「本日は、情報共有の劇的な改善、リアルタイムでの進捗可視化、そして業務効率向上・コスト削減という3つのメリットから、新しいプロジェクト管理ツール『TaskFlow』の導入をご提案いたしました。」
- 「TaskFlowは、私たちのチームがよりスムーズに、より効率的に、そしてより気持ちよく働くために、今最も必要なツールであると確信しております。」
- 「つきましては、来月からのTaskFlow本格導入に向けて、ぜひ皆様のご理解とご賛同をいただければ幸いです。」
このように締めくくることで、聞き手はプレゼン全体を振り返り、最も重要なメッセージを再確認できます。「で、結局どうするの?」という疑問にも答えられますね。
あなたのプレゼンを「伝わる」に変えるための実践テクニック
PREP法で構成を考えることに慣れてきたら、さらに効果を高めるために以下の点も意識してみましょう。
- パワポより先にPREP: スライドを作り始める前に、まず紙やテキストエディタで「P→R→E→P」の要素を書き出してみましょう。伝えたいことが整理されてから資料作成に取り掛かる方が、ずっと効率的です。
- スライド1枚に1つの要素(目安): 必ずしも厳密に守る必要はありませんが、「このスライドでは結論(P)を伝える」「このスライドでは理由1(R)を説明する」「次のスライドで理由1の具体例(E)を見せる」というように、スライドとPREPの各要素を対応させると、聞き手も分かりやすい構成になります。
- 接続詞を口癖に: 「なぜなら」「具体的には」「例えば」「このデータをご覧ください」「つまり」「このように」といった接続詞を効果的に使いましょう。これだけで話の流れがスムーズになり、聞き手が論理を追いやすくなります。
- 練習あるのみ: 頭の中で構成を考えるだけでなく、実際に声に出してPREPの順番で話す練習をしましょう。スムーズに言えるか、詰まるところはないかを確認します。
- 聞き手をイメージ: 具体例(E)は、誰に話すかによって響くものが変わります。専門家相手なら技術的なデータ、経営層相手ならコスト削減効果や売上向上に繋がる話、現場相手なら「どれだけ楽になるか」といった視点を強調するなど、聞き手が「自分にとって関係ある話だ」と思える例を選びましょう。
まとめ
PREP法は、難しく考えられがちなプレゼン構成を、たった4つのステップでシンプルかつ論理的に組み立てられる強力なフレームワークです。
- P(結論):最初に一番言いたいことをハッキリ伝える!
- R(理由):なぜなら、という根拠を示す!
- E(具体例):理由は本当だよ、という具体的な証拠を見せる!
- P(結論):だからやっぱり、と念を押して締める!
この型に沿って構成を練るだけで、あなたのプレゼンは劇的に分かりやすくなり、聞き手を納得させ、行動を促せるパワフルなものに変わるはずです。
まずは次回の社内報告や簡単なプレゼンで、ぜひこのPREP法を試してみてください。「あれ?今日の〇〇さんの話、すごく分かりやすかったな!」と言われる未来が、きっと待っていますよ。